EURO2016 Bグループ第2節
2016年6月16日 UEFA EURO2016 @スタッド・ボラール=デレリス - ランス・アグロ
[HOME]イングランド システム…4-3(1-2)-3(2-1)
GK 1 ハート
DF 右SB 2ウォーカー 右CB 6スモーリング 左CB 5ケイヒル 左SB 3ローズ
MF 中央 17ダイアー 右 20アリ 左 10ルーニー (C)
FW 右 8ララーナ 左 7スターリング 中央 9 ケイン
「4-3-3」
ディフェンダーは、フラットな4バック。両サイドバックは積極的に攻撃参加。
ミッドフィルダーには、アンカー(⇒バックラインの前でのボール奪取)に⑰、
⑩と⑳がインサイドハーフの位置(⇒攻撃の組み立てを担う)。
フォワードは3枚だが、足下の技術と決定力に優れる⑨のワントップ気味。両サイドに⑦と⑧を配置。⑦と⑧はポジションを変えながら、前線で攻撃に絡む形。
[AWEY]ウェールズ システム…4-3(1-2)-3(2-1)
GK 1ヘネシー
DF 右SB 2ガンター 右CB 5チェスター 左CB 4デイビース
左SB 3N・テイラー
MF 中央 6A・ウィリアムス (C) 右 16レドリー 左 10ラムジー
FW 右 7アレン 左 11ベイル 中央 9ロブソン=カヌ
「4-3-3」
ディフェンダーは、フラットな4バック。3枚のFWが攻撃に絡み、得点機を生み出すかたち。中盤は、身体的に優れたアンカー⑥と⑯と⑩のインサイドハーフで形成。
⑩を背負うイングランドプレミアリーグ、アーセナル所属の才能豊かな25歳のラムジーが、積極的に攻撃参加し、チャンスメイク。FWの⑪のベイルが流れの中でも、セットプレーの場でも、決定的な仕事ができるかがカギとなる。
《前半》
ウェールズのキックオフでスタート。
4分、ウェールズ、左サイドのコーナー付近から⑩が蹴ったFKのこぼれ球を、同じ左サイドで拾った③が、中央に浮き球を入れる。そのクロスを⑤がヘディングシュート。上手くミートできず、GKキャッチ。(●ウェールズファーストシュート)
6分、イングランド⑨が、右サイドのオープンスペースに向け浮き球のスルーパス。⑧がそのボールに走り込み、ドリブルから中央に向けてクロスボールを入れる。そのボールに⑦が左足でダイレクトシュート。惜しくも左ポスト上方向に外れる。ビッグチャンス。(●イングランドファーストシュート)
9分、ウェールズ、左オープンスペースに⑨が走り込み、ボールキープ。それをサポートするために上がってきた⑪に(中方向に)ショートパス。それを受けた⑪がドリブルでエリア内に侵入。そのまま左の角度が少ない場所から、シュート。相手DF⑤にシュートブロックされるが、ビッグチャンスの場面であった。(※コーナーキックに)
25分、イングランド、左45度の角度、距離にして約22mほどのFKを⑩が中央に蹴り込み、⑤がバックヘッド気味にシュート。ビッグチャンスであったが、シュートはGK正面であったため、ノーゴール。(※GKキャッチ)
31分、イングランド⑦の左サイドからのクロスがDFに当たり、緩やかな浮き球がゴールマウス付近に落ちてくる。そのボールを、イングランド⑨とウェールズ⑥と④で競り合うが、競り合いの中でのこぼれ球が(画面上では)ウェールズ④の左手に当たったように見えたが、ノーホイッスルで、プレーはそのまま流れる。(※イングランドチームはハンドをアピールしていたが、プレーは続行)
35分、イングランド⑩が右CKからファーサイドに向けて、絶妙なボールを送り、そのボールを⑥がヘディングシュートを放つ。ただ、相手DFもタイトに体を寄せていたために、シュートコースが若干ずれ、ボールは左ポスト外に外れる。ビッグチャンスの場面であった。
41分、ウェールズ先制!ゴールほぼ正面約30mの距離からのFKを⑪が壁の上を越える、無回転の速いボールを左足で蹴り込み、直接シュートのボールはポスト右内側下隅に入る。ゴール!!
45分、アディショナルタイム1分。
前半タイムアップ。0-1、ウェールズリードで折り返す。
☆前半のデータ (*FK/フリーキック,CK/コーナーキック,S/シュート,OF/オフサイド,BC/ビッグチャンス)
FK 8本
CK 4本
S 枠内1本,枠外4本
OF 0回
BC 3回
FK 6本
CK 1本
S 枠内2本,枠外1本
OF 0回
BC 2回
《後半》
HT、イングランド⑦⇒⑮,⑨⇒⑪
イングランドのキックオフでスタート。
48分、イングランド⑰が中央やや右約28mのところからミドルシュート。相手ディフェンダーがブロック。(●イングランド後半のファーストシュート)
54分、ウェールズ、味方GKの(アタッキングサード入り口付近まで届く)ゴールキックを味方が相手ディフェンダーと競り、こぼれたボールを⑩がワンバウンドダイレクトボレーシュート。相手GKキャッチ(●ウェールズ後半のファーストシュート)
54分、イングランド、右サイド(アタッキングサード入り口付近)で⑳が、中に位置する⑩にショートパスを送る。⑩が、ファーストタッチからツータッチ目で、相手⑩をかわし、ペナルティエリア入り口付近までそのままドリブルし、シュート。放たれたボールは、右ポスト辺りにコントロールされるが、相手GKがセーブ。(※コーナーキックに)ビッグチャンス。
55分、イングランド同点!左サイドで⑮が中央にクロスを送る。そのボールを競り合った相手⑥が、クリアミス。こぼれたボールは、ゴール前に立つ⑪の下に落ち、それを⑪がワンバウンドボレーシュート。ゴール!!
62分、イングランド、左サイドを③がドリブルでエリア内ゴールライン付近まで深く侵入し、マイナスのクロスボールを入れる。ゴール前中央でそのボールを⑮がダイレクトボレーを試みるが、上手くミートできず、そのボールは相手ディフェンダーにクリアされる。ビッグチャンスの場面であった。
66分、ウェールズ⑯⇒⑭
70分、ウェールズ⑨⇒⑳
72分、イングランド⑧⇒㉒
〈アディショナルタイムは3分〉
91分、イングランド逆転!アタッキングサード左サイドで、③が中央側に位置する⑮にショートパス。⑮は右斜め前方(ゴール前)に位置する⑪に、左足のアウトサイドでパスを出し、ワンツーで突破を試みる。⑪は、(⑮のイメージ通り)リターンパスをダイレクトで出すが、そのボールを味方⑳が触り、ルーズボール気味になる。ただ、走り込んでいた⑮が、そのボールに素早く反応してシュート。ゴール!!
93分、ウェールズ、左サイドから③が中央にクロスボールを送る。ゴール前で、⑥が相手⑥と競り合う中、相手をブロック。そこに、右サイドから斜めに素早く走り込み、クロスボールをヘディングシュート。惜しくもボールは右ポスト外に外れる。タイムアップ前のウェールズが同点に追いつく、ビッグチャンスであった。
93分30秒、タイムアップ。2-1でイングランドの勝利。
★後半のデータ (*FK/フリーキック,CK/コーナーキック,S/シュート,OF/オフサイド,BC/ビッグチャンス)
FK 2本
CK 5本
S 枠内3本,枠外12本
OF 1回
BC 3回
FK 4本
CK 2本
S 枠内1本,枠外2本
OF 1回
BC 1回
警告…④60分 ラフ
◎一試合を通した両チームの特徴
▽以下はBグループ第1節ロシア戦での印象です。
・左③右②の両サイドバックの豊富な運動量と攻撃参加
・⑩の中盤底でのゲームメイク、配球能力
(※速いライナー性の正確なサイドチェンジは際立っている)
・アタッキングサードでの、複数人が絡み、パス交換を交えながらフィニッシュまで持ち込む技術と戦術理解(攻撃の共通認識)の高さ
・ディフェンスラインの⑥の高さと危機察知能力
・アタッカーとして⑦のスピード、⑧の攻撃センス、両サイドFWに特徴がある
・インサイドハーフ右⑳の攻撃の組み立てに参加しながらも、要所で得点機に顔を出す動き
・アンカー⑰の的確なビルドアップ
☆各ポジションに、特徴がはっきりしたプレーヤーが多く、チームとしての完成度は高いように感じた
今節も特に感じたのが、⑩のゲームコントロール能力の高さであった。
特にセットプレー(CK等)を前節では、⑨が務めていたところ⑩に変わり、
CKの精度が高まり、且つ本来ストライカーである⑨が中央でボールを受ける側に
なることで得点のチャンスは高まったように感じた。
また、この試合においては、後半より投入された⑪と⑮が、目に見える攻撃の変化を
出していた。
・⑮は前線の左サイドでのドリブル突破からのチャンスメイク
・⑪は俊敏性を活かし、DFラインの背後への飛び出し
後半開始10分の同点ゴールは、正に⑮からのクロスから生まれた得点機に、
⑪がゴールを決めたというかたちでした。
また、逆転ゴールもエリア内左サイドでの⑮“ワンツーねらいのプレー”から生まれた
見事なゴールでした。
・⑪の「ここぞ」という時の決定力の高さ
・⑩の攻撃センスの高さ(※ボールを扱う技術の高さを感じた)
・⑳(←途中出場)のアグレッシブなプレースタイル。
↑◦ ドリブルで自ら切り込める力があること
◦ 運動量が豊富なこと
この試合においては、
両チームとも、途中出場の選手の働きが良かったように感じました。
イングランドは、初戦の選手交代が今一つであったような気がしましたが、
このたびは、ハーフタイムでの交代は当たりだったと思います。
ウエールズの⑳は、小柄で俊敏性があり、攻撃的なところから
(少し大げさかも知れませんが・・・)ライバル、イングランドの往年のスター、
マイケル・オーウェンと少しだぶりました。
イングランドの⑩ルーニー、ウエールズの⑩ラムジー、⑪のベイルといった世界的に
有名なプレーヤーは、やはりゲームの中で“違い”を見せることができていました。
EUROに出場する選手は、誰もが(プレーが)「速く」て、「上手い」のが、
当たり前でありますが、その中でもヨーロッパの主要リーグでエース級の働きを見せる
選手は、さらにここに“凄さ”のようなものを感じました。
ただ、イングランドの⑨ケイン、後半終わりごろに入った㉒ラッシュフォードは、
期待していたほどの働きは、見られませんでした。
両者とも、動きやプレーに硬さが感じられました。
これが「EURO(国を背負うこと)の難しさ」かも知れません。
まだ大会は続いていきます。
この後の期待選手のパフォーマンスが発揮されること、
さらに、“新しいスター”の出現も楽しみにしたいと思います。
了